What we do
セノアトリエの仕事
セノアトリエに関心をお持ち頂き誠にありがとうございます。
セノアトリエではスイスなどのドイツ語圏で長年愛されてきたWIMMELBUCH(独)に着想を得たウィンメルブックの企画・制作・出版を一貫して手掛けています。
私が子育てしていたスイスは、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアに囲まれた人口900万人程度の小さな国です。人口の4分の1が外国籍の人々で占める程国際色豊かで、国民の幸福度指数が高く、日本に次ぐ長寿の国としても有名です。一歩郊外へ出ると自然が豊かで、今なおアルプスの少女ハイジさながらの世界が広がり、永世中立国である己の道を貫く意志の強さと気持ちの良さがあります。
裕福でありながら質素で、環境保護や社会問題への意識も高く、国民は国民投票で物事を決定します。自律心、自尊心を大切に考える教育観の元、大人たちはこどもたちをこども扱いせず一人の対等な人間として扱い、また子どもたちも意気揚々と己の意見を真っ直ぐと発言できる環境があります。
そんな非常に成熟した環境下で育まれてきたのが、WIMMELBUCHという絵本文化です。
WIMMELBUCHは、たくさんの登場人物たちがそれぞれの生活を楽しそうに送っている様子が描かれている文字のない大判の絵本です。正解はなく、読者に裁量が委ねられた絵本の最大の魅力はその自由さにあります。文章がなく、読者が何を受け取るのも自由、何を語るのも自由です。この絵本を通じて、こどもたちの想像力はもちろんのこと、主体性や自主性も育まれ、絵を観察することでアートリテラシーも向上されていく。そんな教育的役割を担った絵本として、スイスをはじめとするドイツ語圏では長年親しまれてきました。
私はスイスをはじめアメリカやイギリスでも暮らしてきましたが、日本はとてもいい国だと思っています。そして、足りない部分を補えばもっといい国になるとも思っています。日本には豊かな自然があり、優れた情操教育があり、食文化があり、一流の芸術文化もあります。ただそれでも幸福感が足りないのだとしたら、それは思う存分に自己表現できない"自由さ"の欠如であるように感じています。正解を問われる社会、自己より他者、そういった真面目さだけでは誰しも苦しくなってしまうのです。そこでこのドイツ語圏の人々が培った絵本文化に学ぶことで、より日本の子どもたちを取り巻く環境を自由にしていけるのではないかという願いを込めて、セノアトリエを立ち上げました。
「読み聞かせない」「正解がない」「ルールがない」絵本はもしかしたら大人たちにとっては少々居心地が悪いかもしれません。この居心地の悪さは、絵画をみて何をコメントすればいいのかわからない感覚に似ています。しかし元々日本には江戸時代の浮世絵や絵巻物を見てわかるように、絵だけで物語を語ることを得意とする文化があります。ですのでウィンメルブック、という概念はないかもしれないけれど、実はウィンメルブックを受け入れる下地や素養は皆様お持ちだったりします。現に、たくさんの方々がウィンメルブックを見た際、「こういう絵本好きです」「今までなんでなかったんだろう」とおっしゃってくださることが多いのです。今一度、純粋に絵を見る楽しさを思い出し、こどもたちの自由な感性を引き出すツールとして、ウィンメルブックを手に取っていただけましたら幸いです。
これからも皆さまのご支援を力に絵本を作ってまいりますので、引き続きセノアトリエをどうぞ宜しくお願いいたします。
株式会社 bersa 代表
seno atelier 妹尾和乃
青山学院大学法学部卒
2012年-2021年 在スイス•チューリッヒ
2021年帰国の後、翌年セノアトリエを設立
2023年に株式会社 bersa 設立